失礼なことをしてしまった
と、この電話で初めて気付きましたが、
就職の決意は揺るぎませんでした。
先生との電話の後、アシスタントの先輩から電話がありました。
「やめるんだって?」
不機嫌な口調だったと思います。
自分の気持ちを説明したのだと思いますが、
具体的な内容は覚えていません。
その後も、他の関係者から連絡があったかもしれませんが、詳しくは覚えていません。
「最初からプロになる前の少しだけの仕事のつもりだった」
と仕事に就く前に言うことはできなかったのですが、
もっと迷惑をかけない方法があったのかもしれません。
このときのことを、
「好意に対して、私は本当に、大変失礼なことをしてしまったんだ」
と強く思うようになったのは、 大分経ってからです。
そのときは自分自身も混乱する中で、
「とにかく就職しなければ」
と、漫画家になるという夢を失った私は、そこで動けなくなるのではなく、どうにか前に進んでいかなければという気持ちで頭がいっぱいだったように思います。