アシスタントを募集しているという漫画家さんにお会いして、アシスタントを始めることになりました。
最初からチグハグな感じがありました。
なんといっても、私の心構えがなっていなかったと思います。これはもう、本当に今でも反省しています。社会人慣れしていなかったということかもしれませんが。
それなりにバイトなどもしてきて、少しは社会のことがわかっているつもりでしたが、全然わかっていませんでした。
お仕事をさせて頂いた漫画家さんは、私を一人前のアシスタントとして育てようとしてくれていたと感じました。出版社への紹介なども考えて下さっていたようです。
私にとっては有難すぎるチャンスのはずです。
しかし私は最初から、「アシスタントはプロになるまでの仕事」と考えていました。
自力で漫画家になるのだと。漫画家デビューできたら辞めようと、早くデビューして辞めるのだと。
だからむしろ、
「そんなに期待されても困るなあ。私はすぐに辞めるつもりなのに」
なんて思っていたのです。
どの世界でも横のつながりというのがあると思います。
そうです、デビューしたから、それまでの縁が切れるわけではないのです。
当時の私にはそういったことが、わかっていませんでした。
事実、アシスタント時代、プロの漫画家さん同士が手伝い合っている現場も経験しました。
締切が迫っている漫画家さんのところに、知り合いのプロの漫画家さんがアシスタントとしてお手伝いに来るのです。
そういう現場にいながらもピンと来ていなかったなんて、本当に愚かです。
アシスタントの仕事はいつ来るかスケジュールが組めないので、学生の時にやっていたアルバイトは辞め、アシスタント一本の生活になりました。
最初はそれほど仕事があるわけではなかったので、学生バイトの時より収入は減り、20歳も過ぎて年金などの請求もくるようになっていた私は焦りも感じ始めていました。
「早くプロにならなくちゃ」
しかし、ひたすら漫画家デビューを目指しながら必死になっていた私に、衝撃の一瞬が訪れることになります。