これしかないと思って目指してきた漫画家が間違った夢だったなんて。
気付いた後も、しばらくは何か他の行動に出ることはなかったと記憶しています。
というか、思いがけないことすぎて、自分の中で処理できなかったのでしょう。
漫画家さん同士のアシスタントの貸し借り(という言葉が正しいかわからないですが、自分がついている漫画家さんの知り合いの漫画家さんが忙しいときに、漫画家さん同士の話し合いを経て、他の漫画家さんのアシスタントとして手伝いに行く)で、
他の漫画家さんのお手伝いに行った時、
自分の心境の変化について相談しました。
「私が漫画を描いていたのは物語を創るためでした。感覚は漫画的だと思いますが、漫画家としては違う気がしています」
というような感じで。
その漫画家さんが、
「物語が創りたいなら文章で、漫画の原作に応募してみたら? そういう募集もしていると思うよ」
なるほど、そうかと思い、
自宅で原稿用紙に向かい、物語を文字で書きはじめました。
数枚書いたところで、詰まってしまいました。
漫画からの切り替えがすぐに出来なかったのです。
そして、
「がんばって、これを書き終えたところで評価されるような作品が書けるかわからないし」
という不安にも襲われました。
それでもアシスタントとして、仕事があり、そこそこ生活していけるくらいの収入もあったなら、
学んできたことを活かして、アシスタント業を続ける道もあったのだと思います。
始めたばかりということもありますが、
アシスタントとしての仕事は少ししかなく、収入もなく、
学生時代のアルバイトより稼げない、仕事をするでも夢を追いかけるでもないぼんやりしている時間ばかりがある、
という状況の中で、私はどんどん不安になっていきます。