私はこの世界で勝負できる人間ではない。
その衝撃的な気付きは真実でした。
真実だったので、打ち消そうとしても消すことはできませんでした。
周りは、プロの世界に入ってみたら厳しくて挫けた、
と思ったかもしれません。
甘えだと。
どう思われたかは関係なくて、
何よりも一番ショックを受けたのは私自身でした。
漫画家になるしかないと思ってやってきたのに、
それが間違いだったなんて。
ちょこちょこ入選もしていたので、まるで能力がなかったというわけではないと思います。
でも自分が気付いてしまったのです。
私はこの世界には向いていないと。
見るもの、感じるもの、全てが創作につながっていました。
漫画という表現手段を失い、それらが全て、世界が全て無意味なものに思えました。
私の周りの世界は色を失いました。
創作(=漫画を描く)は私を支えるやじろべえの軸でした。
軸を失い、私は立っていることもできずに、その場でぺちゃんこにつぶれてしまったような感覚でした。